しが泉:ぴ、ピートン寺くん。古畑さん、全然帰ってこないよね。
ピートン寺:おかしいですね……。いくらなんでもこんなに戻ってこないなんて……。
しが泉:だだだ、大丈夫かな? 変な事件に巻き込まれていたりして⁉
ピートン寺:それを言うなら、これまでの事件もおかしいでしょうに。
???:んっふっふ~、そんな調子で謎が解けるとでも思えるんですかねえ~。
しが泉:あ!
ピートン寺:このまったりとくどい喋り方は!
しが泉・ピートン寺:古畑さん……⁉
???:んっふっふ~、半分正解といったところでしょうか~。
しが泉:う、うわああ!
ピートン寺:あなたは、古畑任犬郎……!
古畑任犬郎:んっふっふ~、安心してください~。あなたたちを逮捕する気はこれっぽっちもありません~。
しが泉:だ、騙されないぞ! あんた、カジノで古畑さんを連れて行ったらしいじゃないか!
ピートン寺:あの時は不覚を取りましたが、もう油断はしません。古畑さんを返してもらいましょうか。
古畑任犬郎:んっふっふ~、あの人はもう、帰ってこないんじゃないですかねぇ。
ピートン寺:なんですって⁉
古畑任犬郎:結論を急いではいけません~。それよりも、この謎を一緒に解きませんか~。
しが泉:ああっ! また「D」からの手紙。
古畑任犬郎:この謎を解いたら。あの方の居場所がわかるかも……?
しが泉:わ、罠だよ、ピートン寺くん! こんな犬の被り物してるやつ、信用できるもんか!
ピートン寺:……。
しが泉:ピートン寺くん?
ピートン寺:……いいでしょう。これに、古畑さんの手がかりがあるかもしれません。手紙を読ませてもらいましょう。
しが泉:ええ、大丈夫なの⁉
古畑任犬郎:んっふっふ~、さすがピートン寺くん。切れ者ですねえ。
Memo001
第5話『古畑任八郎 最後の戦い』について。
まず、このタイトルもタケヒサックが適当につけたものではあるが、全5話を続き物にするなら、こうした締めは必要だろう。これまで無茶ぶりだったのに、ここだけはちゃんと逃げ道をつくるあたり、なんだかんだ有能な男である。
しかし、どうしたものか。本家『古畑任三郎』は神がかり的名作だが、こちとらパロディのトンチキ小説である。困ったなあ。
取り急ぎ、タケヒサックをもう一回犯人にしよっかな。うん、それでなんとかなるだろう。うんうん。
しが泉:なんか、思考停止してきてるよね。
ピートン寺:たけひささんにしてみればたまったもんじゃないですね。取り急ぎで犯人にさせられるなんて。
古畑任犬郎:んっふっふ~、この「D」という人物は、かなり投げやりになっているようですねえ。
Memo002
なんとか完成した原稿をタケヒサックに見せると「“たけひさ”、前編通して出演多くないっすか」と、至極真っ当な指摘をしてきた。
おのれ! こんなトンチキ企画でちゃんと仕事しやがって! 俺だってうっすら配役に無理があると思っていたんだ!
致命的な配役ミスは、当初、「しが泉」は存在せず、「武泉」となっていた。
第1話に至っては、「たけひさ」と「武泉」のダブルキャスト。武泉は第3話まで欠かさず登場する。それに加えて第5話でたけひさを犯人にしようものなら、たけひさの過剰摂取になろう。
しかし、役者が足りない。私は、5話構成にしたことを後悔していた。
しが泉:……武泉?
ピートン寺:誤字……ではなさそうですね。どことなくしが泉さんと名前が似ているような……。
しが泉:で、でも。僕らは「武泉」なんて人に会ってないよ!
ピートン寺:武泉……しが泉……。
古畑任犬郎:んっふっふ~、どうやら、このメモには続きがあるようですね~。
Memo003
ふたを開けてみれば、第1話、第5話でたけひさが犯人となる流れは、物語の締めとしてとてもよく機能した。
つまり、武泉だ。武泉さえ誰か別の配役にすれば、たけひさで胃もたれすることもあるまい。そんなある日、私はとあるフォロワーさんのliveを観に行った。そこで、色々な人からいじられながらも、ニコニコと気さくに返している人物がいた。
しがない氏である。
彼は、いちどZINEフェスへ顔を出してくれたこともあり、面識がある。この役をお願いできる相手としては、彼以外考えられなかった。
「しがないさん、不躾なお願いなのですが、しが泉ない太郎をお願いできないでしょうか」。
「大丈夫ですよ! 好きなようにやっちゃってください!」
なんて心強い言葉だろう。このキャスティングが決まったのは実に8月28日。第1話公開の前々日のことだった。
しが泉:そ、そんな! 僕は元々は「武泉」だったってこと⁉
古畑任犬郎:んっふっふ~、これが真実です。
ピートン寺:……だんだん、話が読めてきましたね。
しが泉:え! どういうこと⁉
ピートン寺:……続きを読みましょう。
Memo004
実は当初、タケヒサックからは「古畑任八郎VS古畑任犬郎」というストーリーも提示されていた。しかし、これだけはどうしてもひとつの話として展開ができなかった。
そもそも、探偵役がひとりでもトリックを考えるのに頭を抱えているのに、ふたりになった日には私の小さな脳みそがショートして使い物にならなくなる。しかも、任犬郎は任八郎とキャラがかぶっている。正直、扱いに困る。
しかし、リスタック合戦でかつお氏が徐々に任犬郎の「誰でも監獄ぶち込むマン」にキャラ変をしていった。使える。この設定は使える!
そこで、第3話『カジノの守り神』で、任八郎を捕らえる役に変更。第4話では、ターミネーターの如く、何があっても古畑捕らえるマシーンとして動かし、その話のラストで「アイルビーバック」して退場してもらおうと考えた。
しが泉:任犬郎の設定でめちゃくちゃ苦労してる。
ピートン寺:しかも、まだ現在のキャラと微妙に違いますね。
古畑任犬郎:えー、私も正直どんなキャラになるか心配で夜しか眠れませんでした~。
ピートン寺:めちゃくちゃ良く寝られて、なによりです。
しが泉:任犬郎さんも、自分のキャラがどうなるかわからなかったんだ。変なの。
Memo005
任犬郎をターミネーターのように動かしてみるも、思っていたほどうまくいかない。
せっかく謎の多い濃いキャラだったのに、感情のないターミネーターにして行動パターンを制限すると、途端に深みのない舞台装置になってしまった。もったいない。なにより、任八郎をつけ狙う理由がなくなってしまう。
そこで、任犬郎との決着は第5話に持ち越すこととした。
そして人物像は、現実世界と、虚構の世界、俗にいう「第四の壁」を超えるキャラ。最後の最後まで、扱いに苦労したキャラであったが、任犬郎を上位存在とすることで、ザレゴトメンバーが劇中の世界から抜け出すきかっけを作ることができた。
各話での出番は多くないものの、重要なキャラとして動いてくれたのである。
しが泉:第5話は、これまでと違って前半にもひとつ謎解きがあるような展開だったもんね。
ピートン寺:そうですね……。私たちはその場にいなかったので、悔しいところですが。
しが泉:あれ? そういえば、僕たち第5話で出番なかったよね! なんで⁉
古畑任犬郎:んっふっふ~、それについても答えがあるようですよ~
Memo006
さて、第5話では、「ちなみ」という女性刑事が現れる。これまでしが泉とピートン寺がこなしていた役割を果たしている。
当初は、ここで出てくるのが「名もない所轄刑事」だったが、ちなみもリスタックで「私もちょい役で出たい」と声をあげていた。
くくく、ならば出演してしまえばいいじゃない。私はすでに、出演者が増えることに快感を感じるようになっていた。
しかし、ちなみという役が登場したことで、古畑がしが泉とピートン寺を思い出せないことへの違和感が増した。
実は、この違和感は、最後のスピンオフを締めくくるためにも、重要な要素だったのだ。
しが泉:ええ、古畑さん、僕たちのこと忘れちゃってるの!
ピートン寺:これはショックですね……。
しが泉:うう……古畑さん。忘れるなんて……ひどい……。
ピートン寺:まったく、なんてひどいメモなんでしょう。送られた側の気持ちにもなってほしいものです。
しが泉:うう、ほんとだよ。もともとメモなんて、人に見せるモノじゃないのに。
ピートン寺:……! しが泉さん。今、なんと?
しが泉さん:な、なんだよー。古畑さんみたいな言い方して。
ピートン寺:今、なんと言いました?
しが泉:メモなんて、人に見せるモノじゃない。
ピートン寺:……しが泉さん。
しが泉:な、なに?
ピートン寺:お手柄ですよ。
しが泉:な、なんで上から目線?
ピートン寺:任犬郎さん。
古畑任犬郎:はい。
ピートン寺:古畑さんは、もう戻ってこないんですね。
しが泉:えーーー!
古畑任犬郎:んっふっふ~。
え~、恐らくしが泉くんのひと言で、ピートン寺くんは点と点が繋がったようです。
彼が気づいたのは、任八郎さんが帰ってこないことだけではありません。
任八郎さんの正体、行き先、その先に潜む、隠された真実まで。
ヒントは、何を隠そう私・古畑任犬郎の人物設定です。
この先は番外編では初の「解決編」。もし、推理をしたいと思う方は、もう一度今回の私たちのやり取りを読み直してから進んでください~。
んっふっふ~、それにしても、この解決編前の暗転。一回やってみたかったんですよね~。
古畑任犬郎でした。
ACCUSATION
ピートン寺:うっすら気付いていましたが、この手紙の主・「D」は、執筆者のどてらい氏。そして、古畑任八郎を演じていたのも彼で、ザレゴトメンバーとともに元の世界へ帰っていった。
しが泉:た……たしかに、過去の僕たちの捜査でも、そんな雰囲気はあったよね。
ピートン寺:しかし、これだけでは説明のつかないことがあります。
古畑任犬郎:んっふっふ~、なんでしょう?
ピートン寺:メモの内容を見るに、恐らく『古畑任八郎』という物語は完結している。しかし、私たちの元には作者からのメモが届いている。しが泉さんが言っていた通り、メモは本人が思い返すためのものです。本来、わざわざ手紙で誰かに届ける必要はありません。
しが泉:そ、それがどうかしたの?
ピートン寺:謎は二点。ひとつ、メモは誰が書いたのか。ふたつ、なぜ私たちにメモを送る必要があるのか。
古畑任犬郎:んっふっふ~。
しが泉:も、もしかして。メモを書いたのって……。
ピートン寺:はい。『古畑任八郎』の作者ですね。私たちは、Dの脚本の中で動いていた、ということです。
しが泉:ひいい、怖いよお。
ピートン寺:メモに合った通り、任犬郎さんが重要なんです。第5話の彼の役回りは、第四の壁を超える上位存在だった。つまり、「任犬郎の存在」自体が、「古畑任八郎が劇中劇だった」という設定の裏付けなんです。
古畑任犬郎:鋭いですねえ。ピートン寺くん。
ピートン寺:第5話で、ザレゴトメンバーは『古畑任八郎』の世界から抜け出したところで完結している。本来、ここで物語は終わりです。なのに、「D」は私としが泉さんを『古畑任八郎』の世界に残したまま、メモを送ってきている。
しが泉:な、なんでだろう?
ピートン寺:任犬郎さん。
古畑任犬郎:はい、なんでしょう。
ピートン寺:これは、新企画の宣伝ですね?
UNMASKING
しが泉:せ、宣伝⁉
ピートン寺:はい、宣伝です。そう考えると、すべての辻褄が合うんです。
しが泉:ど、どういうこと?
ピートン寺:恐らく、ザレゴト製作委員会は、最終回を待たずして、次の企画を用意していたんです。『古畑任八郎』とまったく関係ない、別の企画を。
古畑任犬郎:んっふっふ~、彼らなら、そのくらいやりそうですねえ。
ピートン寺:そこで、私たちに制作秘話を紐解かせながら、次の企画宣伝へ辿り着くよう、誘導した。あのメモを手紙でわざわざ送り続けていたのは、そういう目的があったんです。
しが泉:じゃ、じゃあ。僕たちが第4話から本編に出なくなったのも……。
ピートン寺:恐らく、この瞬間のためです。第5話で、ザレゴトメンバーは現実世界へ帰ってしまった。そのため、本編の裏話の語り部を残しておく必要があり、それが、私としが泉さんだった。だから、第4話以降は、古畑さんとは別行動になったんです。さらに、メモを届けるのも、第四の壁を超えられる任犬郎さんなら、造作もない。
しが泉:え、じゃあ、今まで手紙をこっそり届けていたのも。
ピートン寺:任犬郎さん。あなただったんですね。
古畑任犬郎:ご名答です~。
ピートン寺:次のメモ、もってるんでしょう?
古畑任犬郎:んっふっふ~。こちらです~。
次回予告
ザレゴト製作委員会管理部より重大告知
9月をまるまる使って公開された連続ザレゴト小説『古畑任八郎』。ひと息ついたと思ったザレゴトメンバーでしたが、ザレゴト製作委員会管理部は、なにやら密かに動いていたようで……。
2026年10月1日(木)7:00公開。お見逃しなく!
しが泉:ザレゴト製作委員会の管理部が動いているよ……あの4人、何かやらかしたのかな……。
ピートン寺:ここに写っているお二人も気になりますね。どこかで会ったような……。
古畑任犬郎:んっふっふ~、いずれにせよ、明日になればわかります~。
ピートン寺:ふう、これで私たちも仕事は果たした、ということですかね?
しが泉:色々衝撃だったけど、終わったんだね。
古畑任犬郎:こういった企画は、またやりたいですねえ。ザレゴト製作委員会、頑張っていただかなければ~。
ピートン寺:確か、挿絵の企画は続いているんですよね。
しが泉:10月3日まで!。
古畑任犬郎:んっふっふ~、古畑本編は終わってしまいましたが、その残り香をもう少しだけお楽しみくださいね~。
ピートン寺:明日の新企画も、お見逃しなく!
END CREDITS
CAST
しが泉ない太郎: しがない@ 世の中は不条理である
ピートン寺: ピートン☀️子育て研究員
古畑任犬郎: かつお / . ___






